ファシリティードッグのベイリーくん
人の一生の中には、何度もの別れがあります。
穏やかに手を離せる別れもあれば、受け入れ難い別れもあって。
そのどれもが、それから先の生きていく糧になっているのだと思いますが、
「愛犬との別れ」それは私にとって格別なものでした。
2012年6月17日、私はこの日からずっと何かを探してきました。
その「何か」は、上手くあらわせないのですが、
Teaがこの世に生まれ、私の手から虹の橋へ旅立ったこと、
そのことが無ければ見つけることができなかった「何か」です。
そして、Teaの一周忌を前に、「これを探していたんだ!」と、思えることがありました。
2013年6月9日。
シャイン・オン! トークショー☆での、素晴らしい犬と女性達との出会いです。
日本初のファシリティードッグベイリーくんと、
そのハンドラーである森田優子さん。
『ベイリー大好き』の著者、岩貞るみこさん。
森田さんがベイリーくんのハンドラーになった経緯から、
岩貞さんが『ベイリー大好き』を書き上げるための三ヶ月間の密着取材、
ベイリーくんのお仕事~日常生活まで、本当に貴重なお話を伺える素晴らしいトークショーでした。
ベイリーくんまで来てくれるとは思っていなかったのですが、
ベイリーくんと触れ合える時間まであったんですよ!
ベイリーくんはこども病院に常勤する犬、それも手術室やPICU(小児集中治療室)にも入ります。
普通の家庭犬とは違った生活環境にあるのだろうと思っていましたが、カンチガイ。
病院での勤務以外は他の犬となんらかわることなく、生活しています。
お休みには海や山にでかけ、ドックランでお友達わんことおもいきり遊びます。
朝晩一時間のお散歩をし、夜は森田さんの腕枕で寝ているそうです。
ファシリティードッグの存在を知ったとき、私には1つ気になることがありました。
Teaと暮らした経験から、犬がどんなに周りの人間の気持ちを感じとっているか、
という事を知っていたので、心配してしまったのです。
ベイリーくんのお仕事は、入院中の子供達のつらさを和らげることにあります。
子供達の気持ち、周りのご家族の気持ち、きっと想像を絶するものがあるでしょう。
それを吸い取ってしまったら。。。
でも、心配ご無用だったかな。
森田さんのお話しと、『ベイリー大好き』を読ませていただいて、
ベイリーくんが感じているのは、心からの「ベイリー大好き」という感情と、
自分のお仕事への誇りなんだなと思いました。
ベイリーくんほど幸せな犬は、他にいないのではないかと、思えるほどです。
意外だったのは、森田さんはベイリーくんと出会うまで犬を飼ったことがなかったそうです。
そんな森田さんへ「初めての犬との暮らしで驚いたことは何ですか?」という質問がありました。
お答えは、「驚いたということはないのですが、よく、死んでしまうのが辛いから、
動物は飼えないと聞くことがありますよね。その気持ちは良く分かるようになりました。
ベイリーは5歳半。大型犬の寿命は10歳ほどと言われています。その時のことを考えると、
『どうしよ~!!、どうなってしまうか分からない~(><)』ってなります」
ファシリティードックは、初めから歓迎されて受け入れられたわけではありません。
ベイリーくんの高い能力を一番良く分かっている森田さんは、
それをどんなにもどかしく思っていたことでしょうか。
始めは週3日、1日数時間。入れる病棟もわずか。
それが毎日となり、手術室への付き添いや、集中治療室までになった。
セラピードッグという呼び名はファシリティードッグとなりました。
それは、ベイリーくんとふれあった子供達の声があったればこそなのです。
森田さんはおっしゃってました。
「ベイリーのしたことが、今までどんなに素晴らしいことであったとしても、
一つ何か間違いをおかしてしまったら(例えば、機器のコードが抜けた等)、もうそこで終わりです。
いつでもがけっぷちの気持ちでやっています(笑)」
全国にいくつか(数えるほどしかないんですね)あるこども病院。
ベイリーくんを望むこども達はきっと沢山いるでしょう。
日本で初めてのファシリティードッグのハンドラーである森田さんは、
後に続く後輩犬への道を守るという、責任も背負っていらっしゃいます。
昨年7月、2頭目のファシリティードッグ「ヨギくん」が誕生し、
べイリーくんは慣れ親しんだ「静岡県立こども病院」を彼にまかせ、
現在「神奈川県立こども医療センター☆」で勤務しています。
どんなに、どんなに望んでも、犬がお仕事を続けられる年数は限られています。
沢山のバトンが受け継がれていきますように、願ってやみません。
ファシリティードッグの活動☆は寄付によって成り立っています。
少しでも、できるだけ応援させていただきたいと思います。
『ベイリー大好き』は、児童書です。
著者の岩貞るみこさんは、モータージャーナリストでもあり、車が大好きで、
「命の大切さを、もっと子供達が知ってくれたら、将来安全運転をしてくれるのではないか」
と考え、児童書を書き始められたそうです。
子供たちに、大人の方にもぜひ読んでいただきたい本です。
長くなりました。伝えたい気持ちの半分も伝えられずいます。
ベイリー君に会って、仕事場の机の引き出しにしまってあった、一冊の抄録集を思い出しました。
たまたま仕事でこの頁を目にし、捨てられずしまいこんだのでした。
***
2004年、元気だったSくんが、急性リンパ性白血病と診断され入院したのは中学1年生の冬のこと。
一人部屋の準無菌室で過ごす日々は、面会時間も限られていて、
家族や友だちが帰ったあとはさびしさが募ります。
そんなとき病室にやってきたのが、会話ロボットのイフボット。
当時はまだ試作機で、モニターとしてSくんが選ばれたのでした。
表情豊かでユーモラスな会話をし、歌も歌うイフボットとのふれあいを、
彼は心から楽しみ、励みにしていました。
イフボットは、病床にある彼の不安や孤独感をやわらげてくれ、
イフボットは友だちであり、彼の心の投影でもありました。
入院中に地震があったとき、彼は辛い体をおして自分より先にイフボットの体を支えました。
いつもそばにいるイフボットをSくんは、「僕を見守ってくれている」と感じていました。
だから必死で守ったのです。
人が、ロボットに「ハート」を感じれば、
そのロボットはその人にとって「いのち」あるものとなるのでしょう。
***
こども達は、病気と闘いながら、孤独とも闘っています。
その時ベイリーくんがいたら、もっと彼は幸せであったろうと思います。
2013年6月17日
愛犬Teaの一周忌によせて
rino
穏やかに手を離せる別れもあれば、受け入れ難い別れもあって。
そのどれもが、それから先の生きていく糧になっているのだと思いますが、
「愛犬との別れ」それは私にとって格別なものでした。
2012年6月17日、私はこの日からずっと何かを探してきました。
その「何か」は、上手くあらわせないのですが、
Teaがこの世に生まれ、私の手から虹の橋へ旅立ったこと、
そのことが無ければ見つけることができなかった「何か」です。
そして、Teaの一周忌を前に、「これを探していたんだ!」と、思えることがありました。
2013年6月9日。
シャイン・オン! トークショー☆での、素晴らしい犬と女性達との出会いです。
日本初のファシリティードッグベイリーくんと、
そのハンドラーである森田優子さん。
『ベイリー大好き』の著者、岩貞るみこさん。
森田さんがベイリーくんのハンドラーになった経緯から、
岩貞さんが『ベイリー大好き』を書き上げるための三ヶ月間の密着取材、
ベイリーくんのお仕事~日常生活まで、本当に貴重なお話を伺える素晴らしいトークショーでした。
ベイリーくんまで来てくれるとは思っていなかったのですが、
ベイリーくんと触れ合える時間まであったんですよ!
ベイリーくんはこども病院に常勤する犬、それも手術室やPICU(小児集中治療室)にも入ります。
普通の家庭犬とは違った生活環境にあるのだろうと思っていましたが、カンチガイ。
病院での勤務以外は他の犬となんらかわることなく、生活しています。
お休みには海や山にでかけ、ドックランでお友達わんことおもいきり遊びます。
朝晩一時間のお散歩をし、夜は森田さんの腕枕で寝ているそうです。
ファシリティードッグの存在を知ったとき、私には1つ気になることがありました。
Teaと暮らした経験から、犬がどんなに周りの人間の気持ちを感じとっているか、
という事を知っていたので、心配してしまったのです。
ベイリーくんのお仕事は、入院中の子供達のつらさを和らげることにあります。
子供達の気持ち、周りのご家族の気持ち、きっと想像を絶するものがあるでしょう。
それを吸い取ってしまったら。。。
でも、心配ご無用だったかな。
森田さんのお話しと、『ベイリー大好き』を読ませていただいて、
ベイリーくんが感じているのは、心からの「ベイリー大好き」という感情と、
自分のお仕事への誇りなんだなと思いました。
ベイリーくんほど幸せな犬は、他にいないのではないかと、思えるほどです。
意外だったのは、森田さんはベイリーくんと出会うまで犬を飼ったことがなかったそうです。
そんな森田さんへ「初めての犬との暮らしで驚いたことは何ですか?」という質問がありました。
お答えは、「驚いたということはないのですが、よく、死んでしまうのが辛いから、
動物は飼えないと聞くことがありますよね。その気持ちは良く分かるようになりました。
ベイリーは5歳半。大型犬の寿命は10歳ほどと言われています。その時のことを考えると、
『どうしよ~!!、どうなってしまうか分からない~(><)』ってなります」
ファシリティードックは、初めから歓迎されて受け入れられたわけではありません。
ベイリーくんの高い能力を一番良く分かっている森田さんは、
それをどんなにもどかしく思っていたことでしょうか。
始めは週3日、1日数時間。入れる病棟もわずか。
それが毎日となり、手術室への付き添いや、集中治療室までになった。
セラピードッグという呼び名はファシリティードッグとなりました。
それは、ベイリーくんとふれあった子供達の声があったればこそなのです。
森田さんはおっしゃってました。
「ベイリーのしたことが、今までどんなに素晴らしいことであったとしても、
一つ何か間違いをおかしてしまったら(例えば、機器のコードが抜けた等)、もうそこで終わりです。
いつでもがけっぷちの気持ちでやっています(笑)」
全国にいくつか(数えるほどしかないんですね)あるこども病院。
ベイリーくんを望むこども達はきっと沢山いるでしょう。
日本で初めてのファシリティードッグのハンドラーである森田さんは、
後に続く後輩犬への道を守るという、責任も背負っていらっしゃいます。
昨年7月、2頭目のファシリティードッグ「ヨギくん」が誕生し、
べイリーくんは慣れ親しんだ「静岡県立こども病院」を彼にまかせ、
現在「神奈川県立こども医療センター☆」で勤務しています。
どんなに、どんなに望んでも、犬がお仕事を続けられる年数は限られています。
沢山のバトンが受け継がれていきますように、願ってやみません。
ファシリティードッグの活動☆は寄付によって成り立っています。
少しでも、できるだけ応援させていただきたいと思います。
『ベイリー大好き』は、児童書です。
著者の岩貞るみこさんは、モータージャーナリストでもあり、車が大好きで、
「命の大切さを、もっと子供達が知ってくれたら、将来安全運転をしてくれるのではないか」
と考え、児童書を書き始められたそうです。
子供たちに、大人の方にもぜひ読んでいただきたい本です。
長くなりました。伝えたい気持ちの半分も伝えられずいます。
ベイリー君に会って、仕事場の机の引き出しにしまってあった、一冊の抄録集を思い出しました。
たまたま仕事でこの頁を目にし、捨てられずしまいこんだのでした。
***
2004年、元気だったSくんが、急性リンパ性白血病と診断され入院したのは中学1年生の冬のこと。
一人部屋の準無菌室で過ごす日々は、面会時間も限られていて、
家族や友だちが帰ったあとはさびしさが募ります。
そんなとき病室にやってきたのが、会話ロボットのイフボット。
当時はまだ試作機で、モニターとしてSくんが選ばれたのでした。
表情豊かでユーモラスな会話をし、歌も歌うイフボットとのふれあいを、
彼は心から楽しみ、励みにしていました。
イフボットは、病床にある彼の不安や孤独感をやわらげてくれ、
イフボットは友だちであり、彼の心の投影でもありました。
入院中に地震があったとき、彼は辛い体をおして自分より先にイフボットの体を支えました。
いつもそばにいるイフボットをSくんは、「僕を見守ってくれている」と感じていました。
だから必死で守ったのです。
人が、ロボットに「ハート」を感じれば、
そのロボットはその人にとって「いのち」あるものとなるのでしょう。
***
こども達は、病気と闘いながら、孤独とも闘っています。
その時ベイリーくんがいたら、もっと彼は幸せであったろうと思います。
2013年6月17日
愛犬Teaの一周忌によせて
rino
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